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オーディオリンガル法(AL法:Audio-Lingual Method)

AL法は、ミシガン大学のチャールズ・フリース (Charles Fries) らによって考案された、言語指導で用いられる教授法の1つ。日本においては、オーラル・アプローチ (Oral Approach) と呼称されることが多い。学習方法としてはいわゆるダイレクト・メソッドと呼ばれる「外国語は口頭練習から始める」という考えに則りながら、行動主義に基づく方法論であり、特定の生活習性はオペラント反応と呼ばれる「習慣強化」を通じて獲得されると考えている。よって正しい習慣が形成されてくれば肯定的な評価が、間違った習慣が形成されてくれば否定的な評価が、それぞれ下される。

行動主義を応用した言語教育では、教える側は正しい文の模範を提示し、学ぶ側はそれを復唱する(模倣: Mimicry-Memorization)。次に教師は新たな単語を生徒に提示し、生徒はそれを用いて同じ構造の文章を作ってみる(代入:Substitution)。AL法では、明示的な文法の解説は行われず、単純に「型」(パタン:Pattern)の記憶という方法が用いられる。パタン・プラクティス (Pattern Practice) と呼ばれる特定の文構造の練習は、それを自動的に用いることができるようになるまで続けられる。この方法では、授業は一定の反復練習に基づいて行われ、学習者が自分から自由に新しい言語パタンを生成するような機会は方法論的に忌避される。教師は言語ルールに基づいた特定の反応を期待しており、生徒が否定的な評価を受ける結果をもたらしてしまうような働きかけは行わない。言語学習の基礎として行われるものとして、CLT (Communicative Language Teaching) が対照的な方法として挙げられる。

AL法は、3つの歴史的な事情の所産である。言語観の面では、「サピア=ウォーフの仮説」で知られるエドワード・サピアやレナード・ブルームフィールドといったアメリカ構造主義言語学者による構造主義文法の研究に端を発している。20世紀初頭における米国の構造言語学派の主要な関心は、すべてのアメリカ英語を詳細にわたって記述することであった。しかしながら、アメリカ英語の理論的な記述を行えるだけの能力を持った英語教師の不足により、言語学者は観察に頼るしかなかった。同様の理由で、口語への関心か高まっていく。同じ時代、行動主義心理学者のB.F.スキナーにより、言語を含むすべての行動は反復活動や肯定/否定的評価を通じて学習されていく、という考え方が確立されてきた。そしてAL法の誕生を可能とした第3の要素は、第二次世界大戦の勃発である。大戦が始まったことで、世界中にアメリカ軍人を配置する必要が生じたため、少なくとも基本的な会話能力を彼らに身につけさせねばならなかったのである。新たな方法は、当時の主流であった科学的な方法論、つまり観察と反復に頼らざるをえなかったし、実際それは見事に教育に適していたのである。軍隊の影響により、AL法の初期の形態は、「陸軍方式」(Army Specialized Training Program: ASTP) として知られるようになったのである。

1950年代、AL法の理論的土台が生成文法を唱えるノーム・チョムスキーなどの言語学者によって疑問視されるようになった。彼らは構造主義言語学の限界を指摘し、また言語学習における行動主義心理学の妥当性についても、疑問を投げかけたのである(1959年にチョムスキーがスキナーの「言語行動」の再検討を行ったのが有名である)。ここにおいてAL法の理論的根拠は揺らぎはじめ、その方法論の効果が疑われるもの時間の問題であった。このように、1960年代に効果的な言語指導理論としての価値を疑われるようになったものの、今日でもAL法は用いられている。ただし、その利用される場面が教室活動から個人指導へと変化した。このような授業方式は、教師中心的であると言え、提供される情報も、発信される情報も、それぞれ制限されているため、教師も生徒も何が期待されているのか理解することができる。このような理由により、AL法を好む者がいるのも事実である。

関連項目: 受験 家庭教師 

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